晴暦3099年、流星光底のキサラ
晴暦3099年4月。

朝の初め、<それ>が来た。

数え切れない船舶の残骸を結ぶ廃材で作られた橋の上で。

引き離しても追いつく<それ>は、目で捉えることが出来ない。

不可視?

存在する幻覚?

ただ、確実に、手の届くところまで擦り寄ってきている。

・・・。

張りぼての対岸まであと少し・・・。

手枷、足枷からあと少しで、遠くに・・・。

・・・。

そうだ。

ずっとそばに、<それ>はいた。

昔からずっとそばに。

・・・。

「今度こそ、私は。」

「今度こそ、私はあの場所に。」

「今度こそ、私はあの場所に、<星空の涙>を。」

・・・。

「星空のキサラ」の疾駆は、陽の光を透き通る流星の如く。