晴暦3099年、詩篇の魔のルーンシェル
<昔、「ヤンヤディーラ」というものがいた。>

<人の上に立たず、人の下に屈せず。>

<互いの利益・利害の合致があるならば、それもまた「手段」となろう。>

<一方的な抑圧は、鬱憤しか溜まらない。>

<それが破裂した時こそ、押さえ込むことなど出来はしなくなる。>

<それは、詩篇の魔の一つ。>

・・・。

晴暦3099年4月。

ここは、スーリア国の東端の港町「サン海花町」の港。

・・・

<やあ、古き組み合わされた楽曲の如くの旋律の魔に魅入られし者よ。>

・・・

そこに現れた「異」は、宙に浮きつつ、「太楽の海花のルララ」の両肩に優しく手を置いて、緋の国の魔女に目を向けた。

・・・

<我らは、人で無く。>

<我らは、龍で無く。>

<我らは、書であり。>

<我らは、加減可変書項に也て、能動受動の力に也て。>

<詩篇ヤンヤディーラの項に也て。>

・・・

<「僕達」も、この世界に構成された一部だよ。>

<「僕達」も、「全て」を知っているわけではない。>

<「僕達」も、聞きたいことはある。>

<「エンジェル・コースト」、何故、あれが「目視出来る」? あれは、「目視出来ないもの」。>

<「何」をした?>

<「何」をする気だ?>

・・・

「詩篇の魔」の「2の7乗」、・・・「ルーンシェル」・・・。

「これは、予想外です♪」

緋の国の魔女、音立花の鴎威の頬を冷たい汗が流れ落ちた・・・。

「これは、あまりにも分が悪すぎます♪」

「誠に申し訳ありませんが、この場は一旦、引かせていただきます♪」

緋の国の魔女は、人造竜と共に、「無かったかのように」、姿を消した。