晴暦3099年、不死の痛みを持つアフラマーン
晴暦3099年4月。
「やあ、この世界」。
「久しぶりの陽の光だ」。
・・・。
「それ」は、どこかの町の近くの鉱山入り口にいた。
ここは、どこだろう。
空を見上げ、「樹の大地」を見た。
「まだ、あの大地は見えにくいんだ」。
・・・。
「今日は、何年の何月の何日だろう?」。
「暦すらわからないや」。
「だけれど、アレの匂いがする」。
「歪なアレの匂い」。
・・・。
「それ」は、錆びた線路を伝って歩いた。
町が見えた。
「あれは、・・・サン・・・かな?」。
「サン」、遠い昔、切り倒されたスーリア国にある元世界樹。
「かなり歩いたみたい・・・」。
全身の埃を軽く掃った。
・・・。
「この時代には、あの手の連中はいない・・・みたい」。
不死を求める王、不死を求める騎士、不死を求める異界の者、不死を求める軍団・・・。
「不死」といっても、求めていたのは、「不死の身」だけ。
「不死」ではなかった。
私が、「私」でなくなったのは、いつのことだろう。
出合った者は、皆、私は見送ってきた。私が知る者、私を知る者は、誰も、もう、いない。
でも、あの時・・・、最初に会ったのは・・・、「無」。
<お前は「非ず」となった>、「無」は、そう言ってた。
私は人でも何でもない、「完全な不死」の「非ず」。「アフラマーン」と言う名前だったと思う。
私は町を目指し、歩き進んだ。「アレ」との会合の為に。