晴暦3099年、オーレ、天隔壁の向こうへ
晴暦3099年4月9日。
オーレです。
・・・。
来てしまった・・・。
眼前には、昔、「バベル」と呼ばれた悪魔の残骸の上部がある。
「バベル」は、「箱舟」の突撃などで、中途半端に天と地を途切れる形で崩れた。
だけど、「人」は繋げてしまった。50年ほどの時間を掛けて。
この星には、「土の大地」と「樹の大地」がある。
「樹の大地」は樹海雲「ふらくたる」と呼ばれていた。
でも、「見えない」。
「土の大地」から天を見上げると、太陽が見える。月も星も見える。
そこには「透けている世界」があった。
研究者たちは、「バベル」を登って、「透けている世界」を量子理論の何とかやらで出来たものだと推測したらしい。
「上の世界の人」からは「天隔壁」と呼ばれていることを昔々に、アタシは聞いた。
・・・。
あの「バベル」・・・、アタシはあまり通りたくない。
ただ単に、気持ち悪いから。
「バベル」の中は、今も昔も「変な気配」が大量にあるから。
でも、この世界を繋げているのは、現状、「バベル」だけだった。
そして、その先に、「ハローの匂い」がする。
ふぅ・・・。
ため息が出る。
一体、アイツは何しているのやら・・・。
アタシは、「バベル」の中に入っていった。