晴暦3099年、メルキアドは幻想世界が嫌い
晴暦3099年4月9日。
・・・。
ここは西の国の鳳国「ネル」。
そこから、わたしは中央国家群「オウカナ」を目指していた。
・・・。
箱舟「リフトレン」。
そう、あの「箱舟」が現れて、世界は慌てふためいた。
連日、新聞、テレビ、ワイアード、その他マスメディアは、こぞってそのネタを報道していた。
それも、朝から夜まで。中には徹夜で討論している。
・・・バカじゃねえの?
ほんの数日前まで、くだらないネタしか流していなかったくせに。
・・・。
この世界には、「竜」がいる。「巨獣」もいる。「妖精」もいる。
ここは「ファンタジーな世界」かと考えるとなんだか、もやもやする。
勇者?騎士?剣士?戦士?魔導士?魔術師?・・・なんじゃそりゃ?
中には誰が考えたのやら「姫騎士」ってのがある。「姫」なのか、「騎士」なのか、なんじゃそりゃ?
「姫」は、おとなしく王室に鎮座していろ。
「騎士」は、おとなしく武勲を賜っていろ。
「騎士」は「騎士」で、
ちょっとした鎧を身に着けて、裸のような姿で鞘から剣を引き抜いて微笑んで練り歩いている妄想も流行っている。狂戦士と変わらんよ。
「魔女」ってなんだよ?そりゃ、飛んでいる姿を見たことあるけど、あれ、「職業」じゃねえだろ?化物と変わらんよ。
「秘境探検」?「迷宮攻略」?「空中遺跡」?誰が作って、何故に一番奥地に「宝」や「ボスモンスター」を配置するんだ?
そう、ここが「ファンタジーな世界」かと思うと、とても、とても、もやもやする。
・・・。
で、いま、一番うっとおしいのが、「箱舟」の存在。
その為か、わたしは「オウカナ」の「大全太楽堂本舗」に向かっている。理由は、わからんっ!!
「本店」に出向くなんて、一生思わなかっただろう。
婆様が言った、「何事も、経験♪経験♪」・・・。バレリィ婆様・・・。
で、わたしは、てくてくと東の港町に向かって歩いている。
わたしは、「メルキアド」。海花のメルキアド。「太楽」だなんて名乗りたくない。
わたしは、「幻想世界」が大ッ嫌い!!