晴暦3099年、月下のスターゲイザー
晴暦3099年4月2日。

ここは、スーリア国の西の国境のある町「サワ野」。

今は、夜。静かな夜。

あたしはウララ。

・・・。

ここは、タオさんのプリン店のちょっと小さな中庭。

あたし一人、寝付けなかった。

いや、

目が覚めた・・・のかな?

・・・。

昼間のことで、寝付けなかった・・・のではなかった。

・・・。

なんだろう・・・。

夜空が綺麗。

満月が綺麗。本当に綺麗。

・・・。

<本当に満月の美しい、夜空だ。>

・・・!?

隣に青い服の人が座っていた。気がつかなかった。

<お前は、あの子に似ているな。>

<そう、あの子に出会ったのも月夜の晩。>

・・・。

あなたは・・・。

<ここで出会ったのも何かの縁。>

<「これ」を受け取ってくれ。>

その人は、そっと私の手に、何かを手渡した。

・・・。

・・・。

空が明るい。

いつの間に寝ていたのか?

手には「綺麗な何かの欠片」があった。

あの人、いたんだ。

・・・。

タオさんが珍しく早起きして、「おはよ♪」と言った。

そして、「「それ」は大事にしなさいな♪」と言った。

・・・。

青い服の人は誰だったのだろう?

タオさんは笑みを浮かべて、知っている様子だった。