晴暦3007年、魔弾魔銃のポラノ
晴暦3007年5月末。

そこは地の底、<天繋ぎの根>。

太古の世界樹の残骸が作った長大な洞窟とされている。

ただ、大陸間規模の広大さがあるため、大規模探掘団体ですら最深部に至ることは無かった。

最深部に何があるともわからない未踏の地でもあるとされていた。

・・・。

「おいおい、こんなとこで銃使うんかよ。」

「緋の国」の魔女「音立花の雷籠(らいろう)」は、

戦戟「蝦蟇穿ち(がまうがち)」で襲い来る銃弾を叩き退けた。

・・・。

「おほ~♪」

「よくまあ、この暗い中で高速弾に対応できるもんなんか~♪」

次弾装填っと。

「おいおい、ポラノさんよー、」

「一発でヤれや、一発で。」

うっさいな~。

「こんだけ湿気多けりゃ、あたしの<錯音濃霧>の方が使えるじゃん。」

声でっけ~よ、ミスト。場所われんじゃね~か。

「やっちゃう?ぱぱっと、やっちゃうしかないな~♪」

「さぁ~てっ♪何合持つかな~♪」

<ズドンッ!!>

<ズドンッ!!>

<ズドンッ!!>

雷籠の急所を狙えない、まったく的外れの向きに銃口を向け、3発撃った。

「動けるかな~♪避けれるかな~♪逃げれるかな~♪」

3発の弾丸が自意識を持っているかの不自然な軌道をとった。

弾丸自体が滑らかに、鋭角に、連携取るかのように、糸引く涎の獣の牙の如く。

・・・。

魔弾の射手、シーバウス王国戦歌姫ラの称、長耳「ポラノ・シー・ラ」は、

不敵な笑みを浮かべながら、戦歌を奏でて、弾丸を操っていた。