晴暦3007年、南界統祇のラフィン
晴暦3007年5月23日。

南洋「ヒヒイロノナミ」を挟み、

南極大陸「フォックニウス」に最も近き、南リアニン半球最南端「メルカトラバ」。

・・・。

南洋ミラーズの軍事部門ランフーンの指揮官「ラフィン・ミラーズ」は「石化の魔女」と対峙していた。

そのような魔女を目前としながらラフィンは威風堂々としていた。

(なにかある・・・。)

石化の魔女「メルカトラバの瞳」は察した。

ラフィンは二振りある大太刀の一振りを、すっと引き抜き、魔女に刃先を向けた。

「さて、その力、いつでも私に使うがいい。さあ。さあ。さあ。」

ラフィンの「念・感情・思惑」、それらが<一切>感じられなかった。

そうなれば、石化の力など無力同然。

魔女自身が<憶測>を持ってしまった。

遅すぎた。

ラフィンは魔女の懐に潜り込んでおり、一閃が走った。

「ざんねん♪」

「うーさぎちゃんを忘れてもらっちゃ困るなあ♪」

太楽の魔女、蔑称「赤兎」のスカーレットがミラーズ兵を<腐敗>させ、

ラフィンと石化の魔女との、その隙間に入り込んでいた。

ラフィンの剣圧の一閃を<腐敗>させ、ひょこひょこと石化の魔女を担いで数歩引き下がっていた。

・・・。

「・・・ほ、北界のたあらあくうううううっ!!!」

「おまえらは北界だけで商売してりゃいいんだよ!」

ラフィンは声を荒けた。

「ここは南界、人のシマに土足で入り込んでくるんじゃねえよっ!!!」

「どこにでもおまえらは現れては、こっちゃ商売あがったりなんだよっ!!」

「<中枢の犬>ぅ、いや、<中枢の化け狐>めえっ!!」

・・・。

「・・・ふぅ。」

「・・・、これ以上、手出しするんなら、」

「北界、<焼き飛ばす>よ。」