晴暦3007年、メルカトラバ岬の瞳
晴暦3007年5月23日。
南洋「ヒヒイロノナミ」を挟み、
南極大陸「フォックニウス」に最も近き、南リアニン半球最南端「メルカトラバ」。
・・・。
南極大陸に侵攻間際のコングロマリットカンパニー「南洋ミラーズ」と<その者達>は対峙していた。
南洋ミラーズの軍事部門「ランフーン」はすでに南極に向け、高高度からの長距離攻撃を行った直後であった。
・・・。
ランフーンの指揮官「ラフィン・ミラーズ」は対岸の南極侵攻を目前としながら、
<二人の刺客>に足止めを食らっていた。
一人は、商売敵の大全太楽の魔女「赤兎」。
一人は、「メルカトラバの瞳」と呼ばれるセキュリティ・メデューサ。
どちらもランフーンにとっては、非常に厄介であった。
・・・。
ラフィンの持つ衛星軌道上の重攻撃砲妖精「サピヲ」による支援攻撃するには近すぎる距離であった。
・・・。
(<赤兎>は兎も角、メデューサは分が悪すぎる。)
(正面からだと<状況>に支障が出る。)
「・・・、さて、」
「この私が直々に相手するしかないな・・・。」
ラフィンは一人、前進した。
・・・。
<やあ、魔王の眷属。その勇み足は良し。>
<静心、それは道を開かん。>
<瞳の眼差し、察せられること無かれ。>
・・・。
メデューサ「メルカトラバの瞳」は、
心見透かす、その<心眼>をラフィンに向けた。