晴暦3007年、廻空戦女のヴァーティゴ
晴暦3007年6月1日。

霞みがかった早朝に駆け行く者がいた。

ワルキューレ最上級長<ラブシックネス>のマルチセンスから逃れる為とはいえ、

ガイドビーコン無しに駆け回ったのは幾年ぶりか。

<ディソートノミア>、いや、

かつてこの地の世界王として君臨していた<カレイドスコープ>も一目散に行方を眩ました。

・・・。

今、ここがどこであるかも皆目見当付かない。

虚空の城<エンジェル・コースト>からのグローバル・ポジショニング・システムによりマップが形成出来ない。

<エンジェル・コースト>に何かがあったのか?

<ラブシックネス>どころか、<バインドラッシュ>からの<ピング>が飛ばされている。

どういうことだ?

・・・。

もしや、

<エンジェル・ハイブ>の影響か?

・・・。

今は、それどころではない。

最上級長と再会敵すれば、こちらの身が消えかねない。

・・・。

憶測は多々あるが、こちらのインビジブル・モードを解くわけには。



なんだ!?

眩暈の戦乙女<ヴァーティゴ>は周囲を警戒した。

・・・。

この感覚。この臭い。

来るか!?

ハイブの<羽虫>!!