晴暦3007年、オーロラと未知識得へ
晴暦3007年5月22日。

北の極地の大国「クリスタルズ」の大雪原に所々見受けられるクレパス。

極地ではあるが気候は夏に近く向かっている。

それでも、流れの緩い風は冷気であることには変わりなかった。

そんな中に、オーレ、ハロー、ルリムラは時の迷宮「永久組曲」から追い出された。

永久組曲の中で放浪のルリムラに拾われたオーレとハローには、

5年経った月日がたった数時間の出来事であり、

永久組曲の出口は、どこにでもあり、どこにでもなく、

地域に見合った準備すらそもそも出来るものではなかった。

闇の迷宮から抜け出た先が北極の閉鎖大国「クリスタルズ」。

寒さに耐え切れるものでもない中、心の準備なく3007年時に現れた悪魔達と人造攻性ゴーレムに追われることに。

そこに治安派出基地所属の武装した少女「オーロラ」に援護の末、窮地から逃れられた。

そのオーロラはハローですら見間違えるオーレ似であった。

派出基地で暖を取りながら、オーロラ自体も又聞きの又聞きによる今の状況を教えてもらった。

国違いによる暦でありながら、あの頃から5年過ぎていたことに呆然とした。

「悪魔」というものにより、「いつもの生活」への危機状態にあると。

・・・。

オーロラの持つ得物自体も旧式であったため動作不良が頻繁にあったと。

そこはオーレの趣味かつ特技の「ゴーレム・スクラッチ」が輝いた。

基地内にあったジャンク品からオーロラの精霊術式機関銃と装備を出来うる限りに改造した。

その手際の良さにオーロラは唖然としていた。

クリスタルズに無い技術だったからであった。

・・・。

「オーレ、起きて。」

「日差しの出ている間に首都に向かおう。」

「白夜までもう少し先だけ、わずかながら暗い夜がくる。」

「今ならさっきのゴーレムくらいの巡回ぐらいだけど、」

「暗くなったら、<スノーマン>達が出てくる。」

オーロラが言うには、巡回ゴーレムとは別の重ゴーレム<スノーマン>が非常に厄介だと。

オーレ達は貸してもらった寒冷服を厚着して、道先案内人としてオーロラに付いて行く事になった。

・・・。

<クリスタルズ>。

北極にある大国は興味なく聞いていた事はあったけど、

実際、かつての身近の人にどれだけ行ったか皆無であった。

わからなければ、自分の目で見ろ。

わからなければ、自分の耳で聞け。

わからなければ、自分で感じ取れ、と。

誰の言葉だったか、ちと思い出せなかった。