晴暦3007年、ニューラルジアの痛み
晴暦3007年5月22日。
「痛覚の、それも神経痛の悪魔・・・。」
大全太楽の八目(やつめ)は目を細めた。
「っつ!」
八目、ラテ、そしてジェレイドに痺れに似た痛みに屈し、地に顔が触れていた。
・・・。
<こちらの世界は、にぎやかですね♪>
<にぎやか過ぎて、肌がぴりぴりしますね♪>
<にぎやか過ぎて、「バベル」が再出する事です♪>
<「ヤンヤディラ」は何を考えているやら♪>
<「フラクタルの重版」も何を考えているやら♪>
<「魔導書の紙魚」による「痛み」でしょうか♪>
<そう♪>
<「痛み」はすべてのものが有するもの♪>
<感じ取りなさい、他の痛みを♪>
<感じ取りなさい、己の痛みを♪>
<喜びも、怒りも、悲しみも、楽しみも♪>
<知ること、学ぶこと、考えること、諦めないこと♪>
<そう♪>
<絶対防御の方♪>
<「図書守の龍」に伝えなさい♪>
<「心痛の悪魔」が間もなく発出する事を♪>
「待って!あなたは本当に「悪魔」という存在なのですか!?」
痺れで動けない中、八目が呼び止めようとした。
<さて♪>
<みなに♪>
<均等の痛みを♪>
<では♪>
・・・。
神経痛の悪魔、ニューラルジアは、
独り言の如く吟じつつ、
各々の目に風が触れるほどの痛みを与え、その場から姿を消していた。