晴暦3007年、絶対防壁の八目
晴暦3007年5月22日。
「ラテさん。見極め不足は、怪我の元ですよ。」
「ジェレイド卿。先見の明無きは、落命の元です。」
「その者」は地に刺さった杭を抜きつつ、2人に対し諭した。
・・・。
「ジェレイド卿、人に所構わず手を出す癖は治りませんね。」
「いや、そもそも治すということを知らないのですね、ずっと昔から。」
「ああっ!?たらくの子飼いに、言われたくないわぁあっ!!」
・・・。
「トロアの騎士の称号持ちがその程度とは・・・。」
「イルタリアに出現した<3本目のバベル>領域に着いたとたんに襲ってきて、」
「それでありながら、ほかに手を出すとは。」
・・・。
「それに、ラテさん。」
「あなたは、このような危険な場所に悪魔狩りというだけの理由ではなのでしょ?」
「まあ、あなたは怪我無き事だけに注意すれば良いだけですが。」
「ん?あれは・・・。」
「痛覚の、それも神経痛の悪魔・・・。」
「厄介ですね、あれは・・・。」
・・・。
大全太楽堂本舗総務部兼防衛部所属。
「絶対防御壁」を持つ、八目(やつめ)。
何事にも屈しない、というより、もう手の出しようの無い何かの存在であり。
その八目であっても、「厄介」と言わせる「悪魔」とは・・・。