晴暦3007年、心淵魂奪のイグナスティア
晴暦3007年5月17日。

波の上下は船3隻以上。

波間に見えた海面を走る怪物。

ユナ姫指揮する偽装武装船。

各自の持ち場へと、慌しく船内を走る船員や部隊員。

報告通りかとユナ自身が激しく荒ぶる波しぶきが舞う中、欄干に掴まり、その姿を目視した。

あれは、・・・ケルピー型じゃない・・・。

あれは・・・。

「各自に達する!目標はベーシック・ケルピー!イグナスティアだ!!」

彼奴が「再び」現れるか!

彼奴が「再び」私の前に!

「マルクーン!装備、アー・マリ・アード!弾薬、スターク・シックス!」

「絶対に船に近づけるな!」

「船ごと魂を奪い取られるぞ!」

・・・。

「観測、報告!」

<目標、距離千五百まで接近。周囲にクロトビウオを多数確認。>

・・・。

こんなときに・・・、

こんなところで・・・、

第七艦隊壊滅の怨魂を果たせるか!?

・・・。

数え切れない海行くの者を深遠の海に引きずり込んだケルピー。

潰せる好機とも言えるか?

心淵魂奪のイグナスティア。

・・・。

ユナには、目的すらわからぬケルピーに語れることは、何も無かった。