晴暦3007年、激華静華のユナ
晴暦3007年5月17日。
「観測、報告。」
<目視による観測。五時方向、距離三千。波間に影。電探には反応なし。>
「目標は確認できるか?」
ズズーンッ!!
浮流機雷が数機破裂した。
<目標、四脚。海上を高速移動。>
「報告にあったケルピー型か・・・、まずいな。」
ギリリリリリリ!
「各員、全方位確認。距離千五百まで接近されないよう各個迎撃せよ。」
ビイイイイイイ!
<十二時方向、機雷原。>
「次から次へと・・・。マルクーン!!狙撃準備!!」
「ユナねえちゃん!アタシに何か出来ないんか!?」
「無い。貴様らはここにいない。そういうことになっている。」
ビイイイイイイ!
<姫様!狙撃ってマジですか!?マジなんですか!?!?>
「あー、マジマジ。さっさと狙撃準備しろ。」
<姫様!こう、船が揺れまくると、狙いづらいんですが!!>
「つべこべ言うな。準備しろ。」
「ねえちゃん。何かしたいんだけど。」
「わかったわかった。医療班の手伝いをしてくれ。」
「もっと・・・もっと、派手なことを・・・。」
「おとなしくしとけ。」
・・・。
揺れる船内をとぼとぼとユーフォは医療室に足を向けた。
・・・。
さすがに大型ゴーレム4機載せてる高速輸送艦では荷が重い。
ありえないことを願いたいが、近接戦の用意をせねば。
大太刀二振り、門破り四本で対応できるかどうか。
・・・。
「姫様」、「ユナねえちゃん」と呼ばれていたユナなるもの。
ユナ・メータ・シーバウス。北端の王立国家シーバウスの第三王女であったり、「魔王の眷属」の一人でもあったり。
・・・。
あー・・・、あの「自分勝手の魔王」にまた何を言われるやら。