晴暦3007年、突撃の魔女のトリスタン
晴暦3007年5月10日。

・・・。

モカ姐さんのパシリで、ごめんね。

うっとおしくて、ごめんね。

・・・。

魔人「ミッドナイトブルー」に、掌打を繰り返した。

ミッドナイトブルーは、見くびっていた。

「本気を見せなくちゃね♪」、ミッドナイトブルーは、燃える吐息を吐いた。

・・・。

本気は出させない、ごめんね。

あんたの本気の度合い、知ってるから。

・・・。

パシリの掌打が、ミッドナイトブルーの顎に、頬に、耳に、鼻に、眼に・・・、避ける間もなく、打ち込まれていった。

・・・。

「なんで、お前、人の力の解放時間を許さないんだよ!バァーカッ!!」

・・・。

そりゃ、あんたが強いからだよ。

そんなあんたの「力の解放」なんか、許すはず無いじゃん。

・・・。

ミッドナイトブルーの左右の眼球がゴロゴロと激しく揺れながら、ミッドナイトブルーは言った。

・・・。

「いてえんだよ!!いてえんだよ!!」

「腕力系の魔女の暴力は、いてえんだよ!!」

忘れていたよ、この痛み・・・。

500年昔と変わらないじゃない・・・。

本気出さなくちゃ・・・。

本気出さなくちゃ・・・。

・・・。

「ねえ、ミッドナイトブルー。痛み、わかる?」、太楽の長のモカは言った。

「蒼き狼」の魔人「ミッドナイトブルー」は、眼、鼻、耳、口から、痛みの血を流していた。

・・・。

「突撃」の魔女「トリスタン」は、

「ミッドナイトブルー」の首後ろを、左手でそっと持って、右手で頭をグッと押し込んだ。

「ミッドナイトブルー」は、本性出す前に、事切れた・・・。
・・・。

「魔人であろうが、魔女であろうが、「人」には変わんないんだよ。」

「おやすみ、ミッドナイトブルー。古き友。」

モカは、ミッドナイトブルーをそっと抱きしめた。

曇っていた空から光が差した。