晴暦3007年、虹華咲き乱れるティファ
晴暦3007年5月11日深夜。

箱舟「ウェブスィーパー」は、混乱の塔「バベル」に船首攻撃を行って半日以上経った。

西リアニン大陸のイルタリアから発せられた衝撃波は、どこかの宇宙の一つの惑星「リアニン」全土に響き渡った。

・・・。

「バベル」周辺には、破壊された空中戦艦の熱を持った黒い爆煙が未だ渦巻いていた。

未だに小爆発して、火の粉を散らしていた。

・・・。

「バベル」は、この上層部にいる。

太楽の竹取の千年カグヤは感じ取っていた。

・・・!?

何か、また、紛れ込んだ。

・・・。

バベルの下層部から、「何かが撥ねる鮮やかな発光」が見えた。

来る!!

・・・。

カグヤは身構えた。

「こんばんわ、あなたが大魔女カグヤですね。」

・・・!!

カグヤの背中合わせで声が聞こえた。

その瞬間まで、カグヤは背後を取られていたことに気がつかなかった。

カグヤは、距離を取ろうとして瞬時に離れたが、振り向いた瞬間には、眼前に相手の顔が近づいていた。

・・・。

「あなたは、まだ、完全じゃない。本家に帰りなさい。」

・・・な、なに・・・?

取り乱さないカグヤが動揺していた。

その者は黒衣でありながら、虹のような光を、揺らめく様に煌めかしていた。

・・・。

あなたは、誰です?

・・・。

「私は・・・、」

「私は、あなたたちとは、括りの違う大魔女。」

「私は、ティファ。モカ大婆様から言伝です。」

・・・。

「あなたの相手はここではない。相手は、本家に来る。と。」

カグヤは間髪置かず、一閃の刀撃を行った。

ティファは、軽く手斧でカグヤの刀をいなした。

・・・。

ティファ。太楽の虹華のティファ。太楽が独自に編み出した擬似的な大魔女。

・・・。

「カグヤ。あなたは、まだ、練成できていない。」

ティファは、暗闇に溶け込む様に、姿を消した。