晴暦3007年、天断つ竜のディバイド
晴暦3007年5月10日正午、天候曇り。
箱舟「ウェブスィーパー」は、混乱の塔「バベル」に船首攻撃を行った。
西リアニン大陸のイルタリアから発せられた衝撃波は、どこかの宇宙の一つの惑星「リアニン」全土に響き渡った。
・・・。
「バベル」内部は、戦場状態に至った。
「誰が、誰と、戦っているのか?」、それすらも把握すら出来ない状態だった。
・・・。
バベルの外は、雨が降り始めていた。
雨霧の中、「バベル」に近づく者達がいた。
それは、先刻、「黄昏の姫君」により破壊された、北西の王立国家「オーレウス」の空中戦艦「ブルトラ」級の艦隊だった。
それは、「バベル」に接舷しようとしていたのであった。
・・・。
後続のブルトラ級が接近してきた。
火災煙が、もうもうと立ち上がっていた。
あと、僅かな距離で、火の粉と破片を散らし、爆砕した。
・・・。
「何処から攻撃を受けたっ!?」、すでに接舷している艦の指揮官が確認指示を出した。
・・・。
「レーダーにも、敵味方識別信号にも反応ありません!!」、
「いや、映像記録に「影」を確認!!、これは・・・、「竜」です!!」、観測班が答えた。
・・・。
「種別はわかるか!?」
・・・。
「即座に、光学迷彩を展開した模様!!」
「形状識別確認!!タイプ:エンジニアリングドラゴン・コンセプト:ディバイド」です!!」
・・・。
「総員!!目標建造物内部へ退避!!」、司令官は慌てた。
・・・。
空戦に特化したエンジニアリングドラゴンの「ディバイド」が、艦橋の前で姿を現し、「光の散弾」を撒き散らした。
司令官は、あきらめのため息を吐き、眼を閉じた。
・・・。
接舷途中の「ブルトラ」級は、次々と爆散していった。