幻惑の悪魔のダズル
晴暦3007年5月10日。

所は、北東の共和国家「ナイヴァラ」。

今、ナイヴァラは壊滅の危機にあった。

・・・。

<・・・あえ。>

<・・・憎みあえ。>

<互いに、憎みあえ。傷つけあえ。>

・・・。

そこには、「悪魔」が現れていた。

しかし、誰もそのものに気がつかなかった。

いや、誰もが気がつけなかったのだった。

・・・。

<・・・目の前にいるのは、誰だ。>

<・・・目の前にいるのは、言葉のわからぬ者たちだ。>

<・・・目の前にいるのは、姿の異なる者たちだ。>

<・・・敵だ。>

<・・・敵だ。>

<・・・敵だ。>

・・・。

・・・家族だったもの。

・・・友人だったもの。

・・・知人だったもの。

・・・そこに住む者たちだったもの。

・・・皆が争っていた。

・・・皆、恐怖、狂気に我を見失っていた。

・・・。

<・・・この世界は我々のものだ。>

<・・・この世界は我々のものだ。>

<・・・この世界は我々のものだ。>

・・・。

幻惑の悪魔「ダズル」の意の元に、ナイヴァラは深き闇へと沈んでいった。