鮫牙の指刃のネル
今は晴暦3007年5月。

ここは、ある国のある場所、ある日の下。

・・・。

「うぐぅ・・・。」

黒い刀を引きずった者に引っ張られたその者は現れた。

「また、狐・・・狐?・・・子狐!」

「どいつもこいつも狐!狐!狐!」

・・・。

「うぐぅ・・・。サワー姉様に連れられてきました。」

・・・。

「オマエ、気力無さすぎだ!!」

・・・。

「うぐぅ・・・。それ言われると、実も蓋も無い・・・」

「うぐぅ・・・。みんなみんな、「太楽」のみんなは特別な能力を持っている・・・。」

その者は言った。

その者は、「太楽」、と。

・・・。

「あはははははははははは♪」

「嫌いだ♪嫌いだ♪嫌いだ♪」

「どの子狐も嫌いだ♪」

「どの太楽も大嫌いだ♪」

・・・。

「うぐぅ・・・。あまり言い過ぎると痛い目見るよ・・・。」

その者は、太楽の海帝のネル。オーレ世代の気弱な草食系男子。

ただ、その者の持つ指刃は、並みの刀剣より鋭かったのは想定外だった。