闇よ、さらば
今は晴暦3007年5月。

ここは、ある国のある場所、「セリア村跡地」。

・・・。

<♪ヤンヤディラ♪ヤンヤディラ♪ヤンヤディラ♪>

 <♪ヤンヤディラ♪ヤンヤディラ♪ヤンヤディラ♪>

<<虚ろなる心無し、闇すら敵わぬ無の井戸ありけり・・・>>

<♪ヤンヤディラ♪ヤンヤディラ♪ヤンヤディラ♪>

 <♪ディラディラディラディラ、ディラディラディラディラ♪ルーーーーーー♪>

来ましたね。

「来ました。」

始めましょう。

「始めます。」

「「一分間戦争!」」

二人の剣聖が一歩踏み込んだように見えた瞬間、

「それ」の全身から剣撃による火花が飛び散って、

その飛び散る火花さえも、さらに切り刻まれていた。

「それ」は、前に倒れることもなく、後ろに倒れることもなく、

ただ、ただ、切り刻み続けられていた。

しかし、「それ」は無傷のままであった。

((おかしい・・・変だ・・・))

「それ」は、ゆっくり構え、二人の剣聖を斬り飛ばした。

心無き者・・・、「虚無」。

「しかし、「存在するための核」がどこかにある。」

「「この足元のどこかに「無の井戸」が。」」

そう、言うと間髪無く、足元の「闇」を刻み始めた。

この広い「闇」は異常な速さで切り刻み、削り取られ、元あった「土」が見え始めた。

「虚無」に表情が現れた。「虚無」は剣聖プリズムに斬りかかったが、剣聖ディーに弾き飛ばされた。

「虚無」は剣聖に劣らない動きを始めた。3つの「それ」は姿が見えなくなった。

確実なのは、足元の「闇」が減っていた。

・・・。

「一分間戦争」、それは短い様で、果てしなく長い戦いであった。

「闇」で無かった「無の井戸」に躊躇することなく、剣聖プリズムは飛び込んだ。

闇、闇、闇。闇の底には「虚無」を形作る「それ」があった。

「一分間戦争」、それは長い様で、果てしなく短い戦いであった。

・・・。

ここはセリア村跡地。

あれから、一分。

二人の剣聖は、確実に消え行く「虚無」を見つめ、見送った。

セリア村、真実はここに。