濃霧の向こうに
今は晴暦3007年5月。

ここは、ある国のある場所のある朝。

・・・。

「ワレワレハ、ナンナノダ?」

知らない。

「ワレワレハ、ワカラナイ。」

私もわからない。

「オーレヲ、クレ。」

誰?

「ハローヲ、クレ。」

誰?

「セカイヲ、クレ。」

どこの世界を?

・・・。

「蠢く者」の群れの中を平然と進む者がいた。

・・・。

「そう、時間がない・・・か。」モカは、まぶたを閉じて、「その者」の訪れを感じた。

・・・。

時は動いている。

人は動いている。

世界は動いている。

・・・。

モカ、時間は待ってくれない。

頭の中の濃霧から「その者」の声が響く・・・。