狂兎のジェレイド
今は晴暦3007年5月、深夜。

ここは、中央神聖国家群「オウカナ」。

とある路地を囲むように回転灯で照らし出されていた。

武装した戦闘士が自動小銃を構えていた。

・・・。

そこに武装キャリアが到着した。

ひょこッと、小さな影が降り立った。

状況は?

「周囲一体の避難および目標の包囲が完了。」

「目標付近一帯が停電のため目視界での確認が困難。」

「目標は生存状態で確保を優先。」

小さな影は路地の闇の中に吸い込まれていった・・・。

「人食い兎だ。どうにもならんよ。」

「あんなのがでしゃばって来るなんて・・・。」

・・・。

「人食い兎」

「小さな怪物」

そう、蔑称されている。

しかし、気に留めない。

現にそうであるから。

・・・。

もぞもぞと闇の中で蠢くものがある。

人ではない、生き物とも思えない。

そんな事はどうでもいい。

ただ、「目標の生存優先での確保」ということだ。

・・・。

鋭い何かを伸ばしてきた。

それは、とても素早く確実に顔の中心を狙ってきた。

よける事はたやすかった。

・・・。

ジェレイド。この国の国家騎士。最も恐れられて嫌われている騎士。

さあ、仕事の始まりだ・・・。