世界樹の琥珀
今は晴暦3007年5月。
ある国のある場所のある日差し下。
・・・。
昔々・・・、
この星には、無数の世界樹がありました。
世界樹は天の大地を支える柱でありました。
天の大地は広がり、繋がり、星自体を包む樹の大地を形成しました。
そして、ある物達は、天の支えであった世界樹を次々と切り倒しました。
最後の一本になった世界樹は、「琥珀の涙」を一滴、流しました。
唯一無二のその一滴で形成されたのがこの私でありました。
私は思いました。
いずれ、人はこの星の外に憧れる事でしょう。
いずれ、人はこの星を旅立つことでしょう。
・・・。
私は・・・。
私はその時にこそ、天と地をつなぐ歯車となりましょう。
そう・・・。
そう私が琥珀になるときに紛れ込んだ想いがそう言い聞かせているのかもしれません。
その時まで・・・。
その時まで・・・。