ここですね、太楽の海花支店。
太守の命でトロア国北部から船でスーリアの南港にやっとのことで着きました。
それはもうひどい濃霧で、船上でも動くのが危険なぐらいで。

そして・・・

海花支店、壊れてしまってますね・・・。シートがかかっててガンガンと工事音が響いています。
店前に即席のワゴンが広げられていました。
こちらに龍話師の方が居られると聞いたのですが・・・。

「龍話師・・・?あっ!アイツ、そんな事言ってたなぁ・・・アイツは龍話師の弟子だよ。で、今はいない。」

えっ!なんですと!!
やっとのことで着いたのに・・・

「今、本店にいるころだから・・・、遠いよ。」

本店・・・?ち、中央環状合衆国・・・。それは、遠いです。
僕の国からの方が近かったです・・・。
龍話師さんの誰かに連絡取っていただけませんか?

「姉さん!姉さん!!龍話師、誰かいなかったぁ~?え?・・・うん・・・うん・・・連絡取れるって。」

よかった・・・よかった・・・
そう、僕は少し安心したとき、
良からぬ者をこの町に連れて来てしまっていたことに気が付きませんでした。